01【認知症対策の第一歩】 家族が認知症になったら預金口座はどうなる? 今すぐ備えるべきこと
【認知症対策の第一歩】 家族が認知症になったら預金口座はどうなる? 今すぐ備えるべきこと
ある日突然、お金が動かせなくなる現実

「まさか自分の家族が」と思っていても、認知症は誰にでも起こり得る身近な問題です。特にご家族の認知機能が低下し始めると、「今後の生活費はどうなる?」「病院や介護の費用をどうやって払うの?」という、お金の管理に関する不安が最も大きくなります。
実は、ご家族が認知症(意思能力がない状態)になると、法律上、その方の預金口座は原則として凍結され、家族であっても勝手に動かせなくなるという厳しい現実があります。
この記事では、この「口座凍結」の仕組みを解説し、将来の資金繰りで困らないために、専門家として「今すぐ」知っておくべき具体的な対策をお伝えします。
認知症になると預金口座が「凍結」する理由
多くの方が、『夫婦や親子だから、委任状がなくても窓口で交渉すれば何とかなるだろう』と考えがちですが、それは通用しません。
金融機関は、口座名義人本人の意思確認ができない状態での手続きを認めることができません。なぜなら、民法上では意思能力がない状態で行われた契約や取引は無効とされ、後に『不正な引き出しだ』と争いになるリスクがあるからです。銀行は預金者と取引の安全性を守る法的義務があるため、名義人の認知症が確認された時点で、口座を凍結せざるを得なくなります。
💡【実務家の視点】
私は郵便局(金融機関)での長年の実務経験から、窓口での本人確認がいかに厳格に行われているかを熟知しています。特に高齢の方の場合、少しでも言動に不安があるとその場で取引を止め、ご家族にも厳しい対応を取らざるを得ないのが現場の現実です。
凍結後の財産管理を可能にする「成年後見制度」の限界
では、口座が凍結されてしまったらどうなるでしょうか?
凍結後に財産管理を法的に可能にする唯一の手段は、家庭裁判所に申し立てる成年後見制度です。裁判所が選任した後見人が、ご本人に代わって口座の解約や費用の支払いなどの財産管理を行います。
しかし、この制度には以下のような限界があります。
・柔軟性の喪失とコスト
後見人は財産を厳格に『守る』ことが求められ、資産運用や相続税対策などの柔軟な資産活用ができなくなります。また、裁判所への申し立て手続きに時間がかかり、選任された専門家後見人(弁護士、司法書士など)への報酬が、亡くなるまで継続的に発生します。
・「誰が管理するか」は選べない:
家族が後見人候補者として申し立てても、裁判所の判断で弁護士などの第三者(専門家後見人)が選任される可能性が高くなります。そうなると、家族が自由に財産管理をすることは難しくなります。
「今すぐ」家族の財産を守るための具体的な2つの対策

成年後見制度のデメリットを避け、ご家族の意思で柔軟に財産管理を続けたいなら、『今』元気なうちに対策を講じる必要があります。
対策①:家族信託(民事信託)
ご本人の財産を、信頼できるご家族に管理・運用する権利だけを託す契約を結んでおく仕組みです。
最大のメリットは、ご本人が認知症になっても口座が凍結されません。家族が、ご本人の生活費や医療費に使うために、預金を自由に引き出すことができます。柔軟な資産活用が可能になる、最も有効な事前対策です。
対策②:任意後見契約
将来、認知症などで意思能力が不十分になった場合に備えて『誰に、どのような事務(例:財産管理と介護の手続き)を任せるか』を、元気なうちに公正証書で契約しておく仕組みです。
最大のメリットは、将来的に後見人が選任されても、本人があらかじめ選んだ人に財産管理を任せられるため、安心感が非常に大きい対策です。
まとめ:行動の先延ばしは、将来の費用と不安につながる

認知症対策は『まだ先のこと』ではありません。
今』対策を始めなければ、将来的に時間も費用もかかる成年後見制度に頼らざるを得ない事態を招きます。
ご家族構成や財産状況が複雑な場合、特に共有名義の不動産や事業用資産があるケースでは、ネットの情報だけでは適切な解決策は見えてきません。
千葉県流山市を拠点とするいちかわ行政書士事務所は、あなたの状況に合わせた最適な対策(家族信託や任意後見契約)をご提案し、将来の不安を解消します。まずは初回無料(2時間)相談で、あなたが抱える具体的な不安をお聞かせください。
