11相続人調査でつまずかないための『戸籍の集め方』
相続人調査でつまずかないための『戸籍の集め方』

相続手続きの最初の関門。それは、「相続人調査」です。
亡くなった方(被相続人)の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を集め、誰が相続人であるかを確定させるこの作業は慣れない方にとっては非常に複雑で、多くの方がここでつまずいてしまいます。
「大量の戸籍謄本が届いたけれど、文字が読めない!」「どこまで集めれば終わりなの?」
ご安心ください。行政書士である私も、この戸籍収集が相続業務の要だと感じています。この記事では、戸籍収集の具体的なステップと、面倒な作業を効率的に進めるためのノウハウをお伝えします。
なぜ「生まれてから死亡まで」の戸籍が必要なのか?
相続人調査で戸籍を集める目的は、「相続開始時(被相続人死亡時)の法律上の相続人を確定させること」です。
戸籍には、出生・結婚・離婚・養子縁組・認知・死亡などの重要な身分事項が記録されています。たとえ何十年も音信不通であったとしても、戸籍上は相続人となる人がいるかもしれません。
特に、以下のようなケースで戸籍の連続性が途切れると、相続人確定が困難になります。
-
結婚・離婚
戸籍が移動します。 -
本籍地の変更(転籍)
新しい戸籍に移ります。 -
法改正
戸籍の様式が変わり、「除籍謄本」や「改製原戸籍(かいせいげんこせき)」といった普段聞き慣れない名称の書類が必要になります。
過去のすべての戸籍を集めることで、漏れなくすべての相続人を確認できるのです。
戸籍収集の3ステップと具体的なノウハウ

戸籍収集は、パズルのピースを集めるように、現在から過去へと遡って進めるのが鉄則です。
【ステップ1:現在の戸籍からスタート】
【入手書類】
被相続人の「死亡時の戸籍謄本」または「除籍謄本」
・請求先
死亡時の本籍地のある市区町村役場。
・ノウハウ
この戸籍に記載されている「直前の本籍地」を必ず確認してください。これが、次に戸籍を請求する役所の住所になります。
【ステップ2:前の戸籍へ、前の戸籍へ】
【入手書類】
記載されている「直前の本籍地」を頼りに、一つ前の役場に戸籍を請求します。
・請求先
前の本籍地のある市区町村役場。
・ノウハウ
役場への請求書には、「直前の本籍地からの一連の戸籍をすべて取得したい」旨を明確に記載しましょう。
特に「改製原戸籍」や「除籍謄本」は、通常の戸籍とは手数料や名称が異なるため、まとめて請求することがポイントです。
【ステップ3:出生まで遡ったら完了】
戸籍を遡っていき、被相続人の「出生の事実が記載されている戸籍」に辿り着いたら、被相続人の戸籍収集は完了です。
・完了の目安
戸籍の中に「従前戸籍(直前の本籍地)」の記載がなくなり、「誰と誰の子として生まれた」という出生事項が確認できればOKです。
・ノウハウ
戸籍は手書きで読みづらいものが多々あります。
不安な場合は、その場で役場の担当者に「この戸籍で出生まで遡れているか」を確認してもらうと確実です。
収集を効率化する3つの実践テクニック
膨大な戸籍を効率的に集め、時間と手間を節約するための実践的なテクニックをご紹介します。
テクニック1:郵送請求をフル活用する
遠方の本籍地の役場には、郵送で請求するのが最も効率的です。
【請求に必要なもの】
・戸籍謄本等交付申請書(各役場のHPからダウンロード可能)
・本人確認書類(運転免許証など)のコピー
・定額小為替(手数料分)
・返信用封筒(切手を貼り、宛名を記載)
テクニック2:兄弟・姉妹の戸籍も必要な場合がある
相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍も必要になります。これは、先に亡くなった兄弟姉妹(代襲相続人)がいないかを確認するためです。
テクニック3:行政書士を頼る
戸籍収集は手間と時間がかかり、精神的な負担も大きい作業です。特に相続人が多く、本籍地が全国に点在している場合、この作業だけで数ヶ月かかることも珍しくありません。
いちかわ行政書士事務所では、この面倒で時間のかかる戸籍収集を代行し、お客さまの負担を大幅に軽減します。
集めた戸籍から正確な相続関係図を作成し、その後の遺産分割協議や名義変更(相続登記)へスムーズに繋げます。
まとめ

相続人調査は、すべての相続手続きの土台となる最も重要な作業です。難しく感じるかもしれませんが、「現在から過去へ、一つずつ順番に」という基本を忘れずに進めれば、必ず完了できます。
もし、戸籍の枚数が多すぎて手に負えない、読み解くのが困難だと感じたら、すぐに専門家を頼ってください。行政書士が、あなたの生活再建と財産承継の第一歩をサポートいたします。

