いちかわ行政書士 相続の基礎知識

相続手続きのスタートライン
不安を解消する5つの基礎知識

相続手続きのスタートラインとして、まず知っておくべき『相続人』『法定相続分』『遺産分割』など、不安を解消するための5つの基礎知識解説します。

特に、相続人に認知症のご家族がいる場合の『遺産分割協議のルール』など、あなたが抱える具体的な不安を解消するための核となる知識を分かりやすくお伝えします。

POINT 1 相続人(法定相続人)は誰か?

相続手続きの最初のステップは、『誰が相続人になる権利があるか』を確定することです。民法では、亡くなった方(被相続人)の配偶者は常に相続人となり、その他の親族は以下の順番で優先されます。

  • 第一順位: 子(子が亡くなっている場合は孫)

  • 第二順位: 父母・祖父母(第一順位がいない場合)

  • 第三順位: 兄弟姉妹(第一・第二順位がいない場合)

戸籍をたどって相続人を確定するのは想像以上に複雑な作業です。特に、前妻の子や養子がいる場合は注意が必要です。

POINT 2 法定相続分とは?

法定相続分とは、民法で定められた『誰が、どのくらいの割合で相続するか』という目安の割合のことです。この割合は、遺言書がない場合や、遺言書の内容が明確でない場合に遺産の分割基準となりますが、あくまで目安です。相続人同士の話し合いがまとまらない場合、裁判所での判断の基礎となります。

POINT 3 遺言書がない場合は?

遺言書がない場合、遺産の分け方は民法の定めに従い、相続人全員で『遺産分割協議』という話し合いを行います。
合意内容をまとめた『遺産分割協議書』作成後、各種手続きが可能です。

POINT 4 相続人に認知症の方がいる場合の注意点

相続人の中に意思能力がないと判断される認知症の方がいる場合、その方が遺産分割協議に参加しても法的に無効とみなされてしまいます。これは、相続人全員の合意がなければ遺産分割協議が成立しないという原則があるためです。

このような状況では、まず家庭裁判所に申し立てて『成年後見人』を選任する必要があります。成年後見人は認知症の方に代わって遺産分割協議に参加し、その方の財産や権利を守る役割を担います。

成年後見人が選任されて初めて、有効な遺産分割協議を進めることができるようになります。この手続きには時間と専門知識がかかるため、早期の対応と家庭裁判所への申立て書類の作成支援など、行政書士による申立てサポートが不可欠です。

💡【専門家からの提言】
認知症の家族がいる場合 意思能力のない方が協議に参加しても無効となるため、家庭裁判所への『成年後見人』選任申立てが不可欠です。この手続きには時間と専門知識を要します。行政書士による申立てサポートが、ご家族の財産と権利を守るために不可欠です。

POINT 5 遺留分とは?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が、最低限受け取ることができる遺産の割合のことです。

たとえ遺言書で『すべての財産をAに譲る』と書かれていたとしても、配偶者や子どもには法律で保障された取り分が残されます。この権利を主張することで、遺言書の内容に関わらず一部の財産を確保することができます。

💡【専門家からの提言】
この遺留分を考慮せずに遺言書を作成すると、かえって家族間の金銭トラブルの火種になることがあります。遺言書を作成する際は、必ず遺留分を意識した文案を専門家と検討し、後の紛争の芽を摘むことが重要です。

遺言書以外の解決策

遺言書作成か、生前贈与や家族信託などの別の方法か、最適な対策を選択し、実行に移す決意を促すイメージ。

遺言書を『ラストラブレター』として託すには、まだ心の準備ができていない。
そう感じていらっしゃる方も多いでしょう。

しかし、行動を先延ばしにすることは、そのまま将来の家族の争いのリスクに繋がります。

ここでは『まだ遺言書は作成しない』と決めた方のために、今すぐご家族の平穏を守り、不安を解消できる具体的な3つの選択肢をご提案します。

POINT 1 エンディングノートの活用

遺言書のような法的な拘束力はありませんが、ご自身の財産情報、医療・介護の希望、そして家族への感謝のメッセージを自由に書き残せるのがエンディングノートです。

相続が開始した際、このノートがあるだけで家族は故人の意思を把握でき、財産を探す手間が大幅に削減されます。遺産分割協議をスムーズに進めるための『最初の手引き』として機能し、家族間の『争続』を防ぐ効果的な手段となります。

POINT 2 家族で『終活』を話し合う

エンディングノートの活用や日常の会話の中で、ご家族と将来について話し合いましょう。

ご自身の考えを伝え、家族の想いを聴くことで相互理解が深まり、将来の不安を解消します。専門知識なしに今すぐ始められる第一歩としてご検討ください

POINT 3 贈与や生命保険の活用

『遺言書』のように亡くなった後に財産を渡す仕組みではなく、生前に財産を動かすことで、ご自身の意思を形にすることができます。

3-1. 生前贈与の活用
年間110万円以下の贈与であれば、贈与税がかからない基礎控除を利用し、少しずつ財産を子どもや孫に渡すことができます。財産を確実に渡したい相手に対して、計画的に財産を減らしていくことが可能です。ただし、不動産の贈与には登記費用などがかかります。

3-2. 生命保険(死亡保険金)の活用
生命保険の死亡保険金は原則として遺産分割の対象にならず、指定された受取人固有の財産となります。この仕組みを利用すれば、『長女Cに預貯金を多めに渡したい』『次女Dにまとまった現金を残したい』といった特定の希望がある場合、確実にその相手に、遺産分割協議を待たずに財産を渡すことができます。

💡【行政書士からの提言】
これらの方法は、税制上のメリットやデメリット(贈与税、相続税)が複雑に絡みます。
特に多額の財産を動かす場合は、税理士との連携を速やかにサポートします。お客さまにとって最も有利で円満な方法を選択することが重要です。

お気軽にご相談ください

いちかわ行政書士事務所 代表行政書士 市川俊介

初回相談は2時間無料。

基礎知識だけでは、ご家族固有の複雑な問題(共有名義の不動産、認知症の家族など)の解決策は見えてきません。本やネットの情報は、あなたのケースに当てはまらないからです。

千葉県流山市を拠点とするいちかわ行政書士事務所に、まずはご相談ください。あなたの具体的な状況に合わせて、家族の平穏を最優先にしたオーダーメイドの解決策をご提案し、最初の一歩をサポートいたします。